やすらぎの古里

河内西国巡礼記 十五

  山野としえ


 第二十七番花国山観音寺東大阪市西石切町

 山門を入るとすぐ右側に十三重石塔があり、本堂の横手には、寺の昔の坊さんの墓が並んでいます。

 お話によりますと、昔は薬を作っていて、腹養丸という霊薬を出していたということです。八尾の常光寺の横にも古い腹養丸の看板を掲げた佐野という家があり、家伝とかで私の父も飲んでおりましたし、私も昔飲んだことがあります。同じ腹養丸と名づけられていますが、同じ薬でしようか?黒い丸薬でした。この薬を服用している間は油っこいものは避けること、といわれたことなどなつかしく思いだしました。

 千手観音の小さいお座像と、三十三体の観音さまが並びおわしまし。

 法語を、慈眼視衆と申し上げます。

 慈悲の目で、いつも何かを思い煩っている私共を、見守っていて下さるのでしよう。人はいつも一人ではありません。

 第十九番法蔵山観音寺東大阪市西岩田

 前記の第二十七番の観音寺は石切の観音と呼ぱれ、こちらは通称岩田の観音と呼ばれています。

 本堂は古くて、お小さいお堂で、皆膝寄り合せて観音経を捧げました。

 冷い麦茶を二本のポットに入れて、私達を待って下さって、とても美味しいでした。何せ夕立がありそうでむしむしとしていたのです。庫裏は、目下二階建ての立派なものが出来上りつつあり、門を入った右側の水子地蔵尊に千羽鶴の折鶴がたくさん掛けられてあったのが印象に残っています。

 法語 一見阿字

 さあ何のことでしよう。ちらっと見る仏でしようか、母でしょうか。

泡粒ほどの人間の一生でしようか。

 第十八番護法山神宮禅寺 八尾市服部川

 植松の者がいう、東山を登った所にあります。

古い昔の集落の細い登り道を、うねうね曲りながら、マイクロバスがかろうじて登り、対向車のくる時はどちらもゆずり合って、大変気持のよい人情交通です。このお寺は割りあい新しい寺のようです。

 観音さまは小さいより少し大きな中位の厨子の中におられる、聖観音の座像です。

 法語は、日々是好日、私共には最も親しい字句で、ほっとしました。

 辞去して山門を出ると風さわぎ暗雲山の手より押しひろがってきて、今にも一と雨きそうです。

ポツリ一粒二粒。

 「早うせんと夕立に会うよ」の声にせかされてバスの人になりました。

 しかし雨はおっかけてはきません。無事今日の九ヵ寺参拝を終らせて頂きました。 合掌。


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