やすらぎの古里

河内西国巡礼記 十三

  山野としえ


 特別客番紫雲山葛井寺 藤井寺市藤井寺

 このお寺も先の飛鳥十五カ寺詣りに参拝した一寺です。河内生れの人間にとっては、大変馴染み深いお寺で、四月十八日のご命日はもとより、八月九日の千日参りには、毎年のように、父や母に手を引かれて、太子堂から真直ぐ南下、大和川を渡り足を埃で真白にして歩いてお詣りしたものです。

 そこからまた東を向いて、応神天皇陵、誉田の八幡さん、道明寺天神様へお詣りして、今度は国道二十五号線奈良街道をテクテクと帰ってくるのです。たまには道明寺から電車や汽車を乗りついで帰る時もあります。

 昔、女学校を卒業して旧友達と藤井寺から道明寺まで歩いた時、何とも素晴らしく鄙びたハイキング道でした。

 ご存知の如く葛井寺は西国五番札所寺、千手千眼国宝の観音菩薩座像が厨子の中に鎮座ましまし吾々凡夫凡婦の観音経を下手だなあ!と聞こし召したことでございましょう。仏前に南瓜が九個横一列に並べて供えてあったのが、とても庶民的なユーモアを感じ、前回お詣りした時、沢山ある藤棚の藤は枯木でしたが、今日は緑の葉が棚一杯に盛り上り、花の散った後の房がひと節の糸となって沢山垂れ下っていました。

 法語 真観清浄観

 素直な心でありのままを見つめましょう。

 第十七番 大覚山法蔵寺 八尾市郡川

今日一番の登り坂、汗三斗で登りけり、って所です。最も太い文化協会森岡会長と、一番細い私と殿り。

 法蔵寺は十何年も昔、八尾市のハイキングに参加してお詣りしたことのあるお寺ですが、こんな坂を登ったのは初めてです。

 山門をくぐれば大きな本堂、大覚山の掲額、屋根の棟鯱が、尾をぴんと青空に張っています。広い本堂はさすがに涼しい風が通り、奉経後大きな窓に並んで一同記念撮影。

 観音さんのような円満な笑顔をいつも浮べている私の若き友達、Tさん曰く

 「郡川の和歌の友達から電話があって『法蔵寺へ参るそうだから、何時頃来るかと法蔵寺へ聞きにいったら、十一時頃らしいよ』と、わざわざいって聞いてきてくれたらしいのよ」との話。

 そのお友達が、この暑い中、日傘をさして、大きな重そうな袋をさげて汗を流して、Tさんに会うためにきて下さったのです。

 その大きな袋には冷やした枇杷が入っていました。そして次の玄清寺の昼食の後で、真心のこもった、冷たい、甘いこの枇杷を同行者一同、二個づつ頂きました。友情という有難いものと、暖い豊かな真実と共に。

 法語、唯仏与仏

 この言葉そのまま、仏さまよりの尊い贈り物が人の手を通して授けられた思いです。


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