河内七墓詣りあべこべルポ


 神宮寺墓地

 ようやく高野街道に出て、墓道に折れようとして前を見ると、一つ向うの正面登り口に車が止っていて、Cシャツさん手招きしている。

J「あれ!いつの間に着かはったん。折角こゝから入ろうと思っているのに、しょうがない、あっちへいきましょか」

 案内役のJさんの後ろから皆ぞろぞろと従う。

 恩智神宮寺墓地に参拝。土地のお詣りの人多し

Cシャツ「神宮寺というから大きな寺があって、その中に墓があるのかと思ってたが違いますな」

J「あのちっちやい祠が神宮寺さんです」

T「河内七墓はすべて村の墓で寺の経営ではありません。昔天平時代に、はやり病で死んだ屍が道端に打ち捨てられてあるのを、行基さんが哀れと思われて、一カ所づつに集めて火葬された所といわれています」

Cシャツ「沢山の無縁仏ですなあ」

K母「数多い無縁さんにお詣りして、やがて百年二百年先には、自分の墓石も、ここに入ってるんと違うかなあ!」

T「進化論といってもまだ猿から人間が生れたのを聞いたことも見たこともないから、遠い遠い昔の祖先が、ひょつとしたらこんな無縁さんの中にいたはるかも分れへん、と思うと他人ごととは思われへん、心から供養したいと思う」

 垣内墓地

河内七墓詣りあべこべルポ  垣内の墓へ向う。

 そろばんチャンネル班は、いつのまにやらどこかへ雲がくれ。

 Jさんが地図を貸して落ち合う場所は打ち合せずみらしい。

 八王寺神社に立寄る。式内社、昔常世岐神社と称し赤染氏の租神、安産の神様である由。本日の七墓詣りの行者一同、最早安産には用なき顔ばかり。

 恩智神社一の鳥居、目なし地蔵様にちょっと会釈してその前を横切る。よき案内人を得て、今日は迷わずにそして割り合に早く垣内の墓地に着く。

 そろばんチャンネル班先着。迎え仏さんの前の椅子に荷物を置いたり腰掛けたり、早くも持参の冷茶をのんだり。重いカメラを肩に、汗の青シャツ君にK子ちゃん茶を進めるも、首と手を横に振って呑まず。

青シャツ「呑めば余計汗がでますから」

 参拝終ってから少し後戻りして元善光寺へ。

 元善光寺のおじゆっさん、パンツ一丁で体を拭いていられたので、行儀のよい?昔の女、少々うろたえ気味。

T「過日やお文化協会の河内西国巡拝の時詣らせて貰った者です。その折八月七日の七墓詣りに、いつも休ませて頂くと申し上げていましたが、今日は、テレビカメラさんもご一緒していますので…」

僧「あゝ、そうですか」

 お向うさんも何となくうろたえ気味、あたふたと庫裏へ。

 本堂は奥さんが開けて下さり、初めての方は上堂参拝、坊さん黒の帷子甚平を着て、指先程の青い実のなった木の下で信濃柿の説明。

J「私こんな木のあるのを、今までちっとも知らなかったわあ!主人もきっと知らんと思うわ」

 プロというもの

 Cシャツさん、天然記念樹奇特の楠≠フ説明板もメモ、青シャツと白シャツはいつもくっついて撮影。

 タッタッタッタッ、と早走りで我々一行を追い抜いていっては、道の片側に立止りカメラを向ける。

又サッサッサッサッと追い抜き、一面のぼんちこ畑に入ってゆく、一同「あれあれ?」

 二人共にしゃがんで、カメラがこちらを向く、

T「ふうん、上手いなあ、あれがプロやなあ」

 青シャツと白シャツは、いつも一心同体の如く、くっついている。

誰が命令しているようでもない。

話しあってる姿や声も見たことも聞いたこともない。

 それなのに、タッタッタッタッと、同歩調で歩いているかと思うと、ピタッと止まる。

T「ハハアン、チームワークがいいなあ」

 以心伝心どこかで伝わっているのか、一メートル程の黒いゴム管が、青シャツと白シャツをつないでいるだけである。あの管に何かしかけでもあるのか?、と疑いたくなる程不思議だ。

 これがもし女だったらとしよう。

女性側より、男女同権を声高に叫んで久しい、が基本的人権に於ての同権はみとめるとしても、体質的には男女は生れながらにして異質である。だからこのような重労働の女性はまだ不覚にも知らないが、もしやってみたら………

カメラウーマン「いきますよ」

デン子「はーい」

カメラウーマン「早足」

タッタッタッタッ………

どて――ガチャン

カメラウーマン「痛いがな」

デン子「すみません。止まるなら止まると声かけて下さいよ」

 てなあんばいになりかねない。

何しろ重いんだから、腰がきまらないし、止まろうにも急に足がふんばれない。女ばかりだったら、あんなにうまいチームワークでいかれるだろうか。

 他あいもないことを考えていても、我々女ばかりの一行、

 「行きましょうか」

 「は――い」で、

ぞろぞろくっついて歩いて、

T「K子ちゃんきてる?」

K子「きてる」

T「大丈夫?」

Y「一番大丈夫なのがK子ちやん」

一同「ほほ、ハハ………ほんま」

T「男の人ってやっぱり偉いね。こうして汗して働いたはんのやから」

K母「うちの亭主も、今頃こうして重いもの動かして働いているねんなあと思う」

T「成る程」 一同しんみり。

 神立墓地

 神立に着く。

J「まだ来てないね」

T「どっかで昼食したはんのと違う?」

H「先にお詣りしときましょか」

T「そうしましょう」

 一同井戸水を汲んで

 「わあ冷たいわ、いゝ気持よ」

 と、呑んだり手を洗ったり、ハンカチを濡らしたり。

 やがて墓の真中の、でこぼこ石畳通路に、思い思いの場所を得てお弁当を頬ばっていると、下から、そろばんチャンネル撮影班汗だくだくでご来場。


総目次、 河内七墓詣りあべこべルポ 1、 河内七墓詣りあべこべルポ 3